理学療法士

理学療法士とは?
理学療法士は、病気やけが、加齢などによって「立つ」「歩く」「座る」といった体の動きに問題がある人に対して、運動や物理的な方法を用いて、基本的な動作能力の回復や維持を支援するリハビリテーションの専門職です。
患者さんの筋力や関節の動き、姿勢、歩行などを評価し、一人ひとりの状態や目標に合わせて運動療法などを行います。
病院だけでなく、診療所、介護・福祉施設、訪問リハビリテーションなど、さまざまな場所で活躍しています。
理学療法士になるためには、大学・短期大学・専門学校などの養成課程で必要な知識や技術を学び、理学療法士国家試験に合格して免許を取得する必要があります。
理学療法士の仕事内容
理学療法士は、患者さんの体の状態を評価し、基本的な動作能力の回復や維持を目指してリハビリテーションを行います。
筋力や関節の動き、バランス、姿勢、歩行などを確認し、その人に必要な運動や練習を考えます。
例えば、ベッドから起き上がる、立ち上がる、歩く、階段を上り下りするといった動作の練習を行います。
また、温熱・電気などの物理的な手段を利用することもあります。
医師や看護師、作業療法士、言語聴覚士などと連携しながら、患者さんの生活や社会復帰を支えることも大切な仕事です。
理学療法士の仕事を体験してみよう!
理学療法士は、患者さんが「立つ」「歩く」「移動する」といった動作を取り戻すために、どのようなリハビリを行っているのでしょうか?
あなたが病院で働く理学療法士になって、歩くことに不安のある患者さんのリハビリを担当する仕事を疑似体験してみましょう。
情報収集・身体機能の評価・運動や動作練習・歩行練習・生活に向けた支援の5つのステージに挑戦します。
専門的な知識がなくても大丈夫です。
患者さんの「もう一度、自分で歩きたい」という思いを支えるために、あなたならどう行動するか考えてみてください。
理学療法士の主な勤務先
学療法士の代表的な勤務先は、病院や診療所などの医療機関です。
急性期から回復期、生活期まで、患者さんの状態に合わせたリハビリテーションを行います。
このほか、介護老人保健施設や通所リハビリテーションなどの介護・福祉分野、訪問リハビリテーション、小児分野などでも活躍しています。
さらに、スポーツや健康づくりなど、医療機関以外で専門知識を生かす道もあります。
理学療法士になるには?
理学療法士になるためには、理学療法士の養成課程がある大学・短期大学・専門学校などで3年以上学びます。
養成課程では、人体のしくみや病気について学ぶだけでなく、患者さんの身体機能を評価する方法や、運動療法などの理学療法について学びます。
また、病院や施設などで臨床実習を行い、実際の患者さんへの評価や治療について実践的に学びます。
養成課程を修了して受験資格を得た後、理学療法士国家試験に合格し、免許を取得することで理学療法士として働けるようになります。
理学療法士になるまでのロードマップ
① 中学生・高校生

学校の勉強を身につけながら、人体や運動、医療、リハビリテーションについて興味を広げる
② 理学療法士養成課程へ進学

大学・短期大学・専門学校などから、自分に合った進学先を選ぶ
③ 理学療法について学ぶ

解剖学・生理学・運動学などの基礎から、評価や運動療法などの専門的な内容まで学ぶ
④ 臨床実習

病院や施設などで、理学療法士の指導を受けながら患者さんへの評価や理学療法について実践的に学ぶ
⑤ 理学療法士国家試験

国家試験に合格し、理学療法士免許を取得する
⑥ 理学療法士として働く

医療・介護などの現場で経験を積み、専門分野、訪問リハビリ、教育・研究などへキャリアを広げる
中学生・高校生のうちにやっておきたいこと
理学療法士を目指す中学生・高校生は、まず学校の勉強をしっかり身につけることが大切です。
養成課程では、筋肉や骨、神経など人体について詳しく学びます。
また、患者さんと直接関わりながらリハビリテーションを行うため、人とコミュニケーションを取る力も大切になります。
学校の勉強
国語・数学・理科・英語などの基礎学力を身につけよう。特に生物などの知識は、人体の構造や機能を学ぶための基礎になります
人体・運動への興味
筋肉や骨のしくみ、スポーツ、体の動きなどに興味を持ち、「人はどうやって立ったり歩いたりしているのだろう」と考えてみよう
人に関わる力
理学療法士は患者さんの話を聞き、一緒に目標を考えながらリハビリテーションを進めます。相手の話を聞き、分かりやすく伝える力を身につけよう
理学療法士養成課程では何を学ぶ?
理学療法士の養成課程では、一般教養、専門基礎科目、専門科目、臨床実習などを通して、理学療法士として必要な知識と技術を学びます。
解剖学・生理学・運動学などの基礎医学から、実際の理学療法まで幅広く学習します。
人体・病気の知識
解剖学・生理学・運動学などを通して、筋肉や骨、神経など人体の構造や働きを学びます。また、さまざまな病気やけがについても学びます
理学療法の知識・技術
筋力や関節の動き、姿勢、歩行などを評価する方法や、運動療法・物理療法などについて学びます
臨床実習
病院や施設などで理学療法士の指導を受けながら、実際の臨床現場で評価や理学療法について実践的に学びます
理学療法士国家試験とは?
理学療法士国家試験は、理学療法士として必要な知識や技能を確認するための国家試験です。
指定された大学・短期大学・専門学校などの養成課程で原則3年以上必要な知識・技能を修得し、受験資格を得た人が受験します。
理学療法士養成課程を修了 → 理学療法士国家試験 → 合格 → 理学療法士免許の申請・登録 → 理学療法士へ
理学療法士のミニ国家試験に挑戦!
理学療法士国家試験では、筋肉や骨、関節、神経など人体のしくみについての知識だけでなく、病気やけが、身体機能の評価、運動療法、歩行など、リハビリテーションに必要な幅広い知識が問われます。
「理学療法士になるには、どんなことを勉強するんだろう?」
そんな疑問を、5問のミニ国家試験で少しだけ体験してみましょう。
人体のしくみ、関節の動き、歩行、リハビリテーション、患者さんの状態に合わせた対応など、理学療法士に必要な知識をもとにした4択問題を出題します。
あなたは5問中、何問正解できるでしょうか?
理学療法士になるまで何年かかる?
高校卒業後に理学療法士を目指す場合、指定された養成校で3年以上学ぶ必要があります。
進学先によって、
4年制大学 → 約4年間
3年制短期大学 → 約3年間
3年制または4年制専門学校 → 約3〜4年間
などの違いがあります。
そのため、高校卒業後から考えると、理学療法士になるまでの期間は最短で約3年間が一つの目安です。
なお、すでに作業療法士の資格を持つ人には、指定された養成校で2年以上学ぶことで理学療法士国家試験の受験資格を得られるルートもあります。
理学療法士になるためにかかる費用
理学療法士になるための学費は、大学・短期大学・専門学校のどこへ進学するかによって大きく異なります。
授業料や入学金のほか、施設設備費、教科書代、実習着、保険料などが必要になる場合もあります。
そのため、学校を比較するときは、卒業までに必要となる費用の総額を確認することが大切です。
大学
4年制大学の場合、国公立大学では4年間で約250万円前後、私立大学ではおおむね500万〜700万円程度が一つの目安になります。
短期大学
3年制短期大学の場合、3年間で400万〜500万円程度かかる学校があります。
私立大学の医学部
3年制専門学校では、3年間で350万〜500万円程度が一つの目安です。4年制の場合は、500万〜600万円程度以上になることもあります。
理学療法士に向いている人
人の役に立ちたい
リハビリテーションを通して、患者さんができることを増やしたり、生活を取り戻したりすることを支えたい人に向いています
人と関わることが好き
患者さんと直接関わる時間が長いため、人と話したり、一緒に目標に取り組んだりすることが好きな人に向いています
体のしくみに興味がある
筋肉・骨・関節・神経や、人が動くしくみなどに興味を持って学べることが大切です
観察することが得意
患者さんの姿勢や歩き方、動作などを観察し、小さな変化に気づく力が求められます
根気強く取り組める
リハビリテーションではすぐに大きな変化が現れるとは限らないため、患者さんと一緒に継続して取り組む姿勢が大切です
学び続けられる
新しい治療方法や研究について学び、理学療法士になった後も知識や技術を高め続けることが大切です
すべてに当てはまる必要はありません。学校での学習や臨床実習、患者さんとの関わりを通して身につけていける力もあります。
理学療法士の働き方
急性期病院
病気やけがの治療を受けている患者さんに対して、できるだけ早い段階から身体機能の低下を防ぎ、基本動作の回復を支援する
回復期リハビリテーション病院
病気やけがの状態が安定した患者さんに対して、立つ・歩くなどの能力を高め、自宅復帰や社会復帰を目指したリハビリテーションを行う
診療所
整形外科などで、けがや運動器の病気などがある患者さんに対して理学療法を行う
介護・福祉施設
高齢者などに対して、身体機能や日常生活で必要な動作能力の維持・改善を支援する
訪問リハビリテーション
利用者さんの自宅を訪問し、実際の生活環境に合わせて動作練習や運動、生活上の助言などを行う
スポーツ・健康分野
理学療法の知識を生かし、スポーツに関わる人の身体機能や運動、健康づくりなどを支援する
理学療法士の収入
理学療法士の年収は、勤務先、経験年数、地域、役職などによって異なります。
年収の目安は400万〜500万円程度と考えるとよいでしょう。
経験を積んだり、管理職になったりすることで、これより高くなる場合もあります。
また、病院、診療所、介護施設など勤務する場所によって給与や手当などに違いがあります。
理学療法士のやりがい
患者さんの回復を身近で支えられる
できなかった動作ができるようになるなど、患者さんの変化を身近で感じることができます
「歩く」を支えられる
立つ・歩くといった生活の基本となる動作を専門的な知識や技術で支えることができます
患者さんと一緒に目標を目指せる
患者さんの希望を聞きながら目標を設定し、一緒にリハビリテーションに取り組むことができます
専門知識を活かせる
人体や運動について学んだ専門知識を、患者さんの生活や社会復帰のために直接活かすことができます
幅広い分野で活躍できる
医療だけでなく、介護、地域、小児、スポーツ、健康づくりなど、さまざまな分野に関わることができます
専門性を高め続けられる
興味のある領域について学び続け、自分の専門性を高めていくことができます
理学療法士に関連する学問
医師になるためには医学部で医学を学びますが、医療にはさまざまな学問が関わっています。
人体のしくみ、病気の原因、薬の働き、社会と健康の関係など、幅広い分野の知識が医療を支えています。
理学療法学
身体機能や基本動作の回復・維持を支援するための評価や治療について学ぶ、理学療法士の中心となる学問
医学
人体の構造や病気、治療などについて学び、患者さんの状態を理解するための基礎
解剖学
筋肉・骨・関節・神経など、人体の構造について学ぶ学問
生理学
呼吸や循環、筋肉、神経など、人体がどのように働いているのかを学ぶ学問
運動学
人間の姿勢や動作、関節や筋肉の働きなど、人の動きを科学的に考える学問
スポーツ科学
運動や身体機能、トレーニングなどについて科学的に研究する分野
理学療法士に関連する資格・認定
理学療法士免許
理学療法士として働くために必要な国家資格。理学療法士国家試験に合格し、免許の申請・登録を行うことで取得する
登録理学療法士
日本理学療法士協会の生涯学習制度において、前期研修・後期研修を修了した理学療法士が取得できる認定。幅広い領域に対応できる理学療法士として、継続的に知識や技術を高めていく制度です
認定理学療法士
特定の分野について、より専門的な知識や技術を身につけた理学療法士を日本理学療法士協会が認定する制度です
専門理学療法士
特定の専門領域について高度な専門性を身につけ、学術的な活動などを通して専門能力を高めた理学療法士を認定する制度です
日本理学療法士協会の生涯学習制度では、登録理学療法士を基盤として、認定理学療法士・専門理学療法士へ専門性を発展させていく体系が設けられています。
理学療法士免許 → 登録理学療法士 → 認定理学療法士・専門理学療法士
理学療法士に関連する職業
作業療法士
病気やけがなどによって生活に困難がある人に対して、作業活動などを通して日常生活や社会参加を支援する
言語聴覚士
ことばやコミュニケーション、食べる・飲み込むことに問題がある人に対して、評価や訓練、支援を行う
医師
患者さんの症状や検査結果などから病気やけがを診断し、必要な治療を行う
看護師
患者さんの健康状態を観察し、医師の診療の補助や療養生活の支援などを行う
義肢装具士
義手・義足や装具などを、利用する人の身体に合わせて製作・適合し、生活や移動を支援する
柔道整復師
骨折・脱臼・捻挫・打撲などのけがに対して、整復や固定などの施術を行う
アスレティックトレーナー
スポーツに関わる人のけがの予防やコンディショニング、競技復帰などを支援する
介護福祉士
高齢者や障害のある人に対して、食事・入浴・移動など日常生活に必要な介護や支援を行う


