保育士

保育士は、乳児から小学校入学前の子どもを中心に、生活や遊びを通して成長と発達を支える専門職です。 保育所などで子どもたちの食事や着替え、排せつ、睡眠などの日常生活を支援しながら、一人ひとりの発達段階に合わせた保育を行います。 例えば、まだ言葉で気持ちを伝えることが難しい子どもに寄り添ったり、友達との遊びを通して協調性や社会性を育んだりします。 また、保護者と協力しながら、子どもの健康や発達、家庭での子育てについて支援することも重要な役割です。 保育士が活躍する場所は保育所だけではありません。認定こども園や児童養護施設、乳児院、障害児支援施設などでも、子どもたちの生活や成長を支えています。 **「子どもの発達 × 生活支援 × 保護者への支援」**を専門とし、子どもたちが安心して成長できる環境をつくる職業です。 保育士は国家資格であり、資格を取得したうえで保育士登録を行うことで、保育士として働くことができます。
保育士の仕事内容
保育士は、子どもの年齢や発達段階、性格、家庭環境などを理解しながら、生活や遊びを通して成長を支援します。
食事・着替え・排せつなどの生活支援
子どもが安心して生活できるよう、食事や着替え、排せつ、睡眠などを支援します。 乳児には授乳やおむつ交換などを行い、成長に合わせて少しずつ自分でできることを増やせるように関わります。
遊びを通した発達支援
絵本の読み聞かせや歌、工作、運動遊びなどを通して、子どもの心と身体の発達を支えます。 遊びは子どもにとって大切な学びの機会です。好奇心や想像力、表現力、友達と関わる力などを育みます。
子どもの健康・安全管理
子どもの体調や表情、食欲などを観察し、安全に過ごせる環境を整えます。 感染症の予防や事故防止、アレルギーへの対応などにも注意を払います。
保護者への子育て支援
保護者と子どもの成長や日々の様子を共有し、子育てに関する相談に応じます。 家庭と保育施設が協力しながら、子どもの健やかな成長を支えることが大切です。
行事・活動の企画
季節の行事や運動遊び、制作活動などを計画し、子どもたちがさまざまな経験をできるようにします。 行事を成功させることだけでなく、子ども自身が楽しみ、成長できる過程を大切にします。
保育計画・記録の作成
子どもの発達や興味に合わせて保育計画を立て、日々の様子や成長を記録します。 記録をもとに保育内容を振り返り、よりよい支援につなげます。
配慮が必要な子どもへの支援
発達や健康状態などに応じて、一人ひとりに必要な配慮を行います。 必要に応じて保護者や専門機関と連携し、子どもが安心して集団生活を送れるよう支援します。
保育士の主な勤務先
保育士は、保育所を中心に、子どもの成長や生活を支えるさまざまな施設で活躍しています。
認可保育所
保護者の就労などにより家庭での保育が必要な子どもに対して、生活や遊びを通した保育を行います。 0歳から小学校入学前までの子どもを対象とする施設が一般的です。
認定こども園
幼児教育と保育を一体的に提供し、子どもの成長を支えます。 施設の類型や担当する業務によっては、保育士資格に加えて幼稚園教諭免許状が必要になります。
小規模保育事業所
比較的少人数の子どもを対象に、一人ひとりに寄り添った保育を行います。 主に0〜2歳児を対象とする施設が多くあります。
企業主導型保育施設・事業所内保育施設
企業などが設置する保育施設で、従業員の子どもなどの保育を行います。 勤務時間や保育の体制は施設によって異なります。
乳児院
家庭で養育を受けることが難しい乳幼児に対して、日常生活の支援や養育を行います。
児童養護施設
さまざまな事情により家庭で生活することが難しい子どもたちの生活や成長を支えます。
障害児支援施設・児童発達支援事業所
発達や障害の特性に応じて、子どもの生活や遊び、社会性の発達などを支援します。
病児保育施設
病気の子どもや病気の回復期にある子どもに対して、体調に配慮した保育を行います。 看護師などと連携しながら、安全な保育環境を整えます。
保育士になるには?
保育士になるためには、保育士資格を取得し、保育士登録を行う必要があります。 代表的な資格取得ルートは、保育士養成施設を卒業する方法と、保育士試験に合格する方法の2つです。
保育士養成施設ルート
高校卒業後に、こども家庭庁長官が指定する保育士養成施設で学ぶ方法です。 指定された大学、短期大学、専門学校などで、保育学や発達心理学、子どもの健康、保育内容、保育実習などを学びます。 必要な課程を修了して卒業することで、保育士資格を取得できます。 指定保育士養成施設を卒業するルートでは、原則として保育士試験を受験する必要はありません。 その後、保育士登録を行うことで、保育士として働けるようになります。
保育士試験ルート
大学や短期大学などで保育士養成課程を修了していない人でも、所定の受験資格を満たせば保育士試験に挑戦できます。 保育士試験は筆記試験と実技試験で構成され、必要な科目に合格することで資格取得を目指します。 受験資格は最終学歴や卒業時期、児童福祉施設での実務経験などによって異なります。 高校卒業後すぐに誰でも受験できるわけではないため、受験資格を事前に確認することが重要です。 試験に合格した後、保育士登録を行います。
幼稚園教諭との違い
保育士と幼稚園教諭は、どちらも子どもの成長を支える仕事ですが、資格制度が異なります。 保育士は国家資格であり、保育所や児童福祉施設などで保育を行います。 一方、幼稚園教諭は教員免許状を持ち、幼稚園で幼児教育を行います。 認定こども園では、施設の類型や職務に応じて両方の資格・免許状が求められる場合があります。 進学先によっては、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を取得できる課程もあります。
保育士になるまでのロードマップ
- 中学生・高校生家庭科や保健体育、音楽、美術などを学び、子どもの発達や保育について興味を広げる。
- 資格取得ルートを選ぶ指定保育士養成施設への進学、または受験資格を満たして保育士試験に挑戦する方法を考える。
- 保育の専門知識を学ぶ保育学、発達心理学、子どもの健康、保育内容、児童福祉などについて学ぶ。
- 保育実習・実践的な学習養成施設ルートでは、保育所や児童福祉施設などで実習を経験し、子どもへの関わり方を身につける。
- 保育士資格の取得・登録指定養成施設を卒業するか、保育士試験に合格して資格を取得し、保育士登録を行う。
- 保育士として働く保育所や認定こども園、児童福祉施設などで経験を積み、子どもの成長を支える専門性を高めていく。
中学生・高校生のうちにやっておきたいこと
保育士は、子どもたちの生活や遊びを通して、心と身体の成長を支える仕事です。 中学生・高校生のうちは、学校の勉強を大切にしながら、子どもの発達や教育、福祉について興味を広げてみましょう。
家庭科・保健体育を学ぶ
子どもの成長や健康、食事、生活習慣などについて学ぶことで、保育の仕事に役立つ基礎知識を身につけられます。
音楽・美術に親しむ
歌や楽器、絵画、工作などを楽しむ経験は、子どもたちとの遊びや表現活動に役立ちます。 ピアノが得意でなくても保育士を目指せますが、音楽に親しんでおくと将来の学習に役立ちます。
子どもと関わる経験を積む
地域の子育て支援活動や児童館などでのボランティアを通して、子どもとの関わり方を学ぶことができます。
コミュニケーション力を育てる
子どもの気持ちを理解し、保護者や職員と協力するために、相手の話を丁寧に聞く力が大切です。
保育士養成課程では何を学ぶ?
保育士の養成課程では、子どもの発達や心理、健康、教育、福祉、保育技術などについて幅広く学びます。
保育原理
保育の基本的な考え方や目的、保育士の役割などについて学びます。
子どもの発達心理学
乳児期から幼児期にかけての心や身体の発達、感情や行動の変化などについて学びます。
子どもの保健
子どもの身体のしくみや健康管理、病気の予防、事故防止などについて学びます。
子どもの食と栄養
成長に必要な栄養や食生活、離乳食、食物アレルギーへの配慮などについて学びます。
保育内容
健康、人間関係、環境、言葉、表現などの領域を通して、子どもの発達を支える保育について学びます。
音楽・造形・身体表現
歌や楽器、工作、絵画、運動遊びなど、子どもと一緒に楽しむ活動について学びます。
社会的養護・児童福祉
家庭で生活することが難しい子どもへの支援や、子どもの権利、児童福祉制度などについて学びます。
保育実習
保育所や児童福祉施設などで、子どもとの関わり方や保育の進め方、保護者への対応などを実践的に学びます。
保育士試験とは?
保育士試験は、保育士として必要な専門知識や技能を確認するための国家資格試験です。 指定保育士養成施設を卒業するルートでは、原則として保育士試験を受験する必要はありません。 一方、保育士試験ルートでは、所定の受験資格を満たしたうえで、筆記試験と実技試験に合格する必要があります。
筆記試験
保育原理、教育原理、社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論の9科目から出題されます。 一部の科目には、一定の条件を満たす場合の免除制度があります。
実技試験
筆記試験の全科目に合格した人などを対象に、保育に必要な表現技術を確認します。 音楽、造形、言語の分野から、指定された方法で2分野を選択して受験します。 試験の実施内容や選択方法は、受験年度の案内を確認する必要があります。
資格取得までの流れ
受験資格を満たす → 筆記試験 → 実技試験 → 合格 → 保育士登録 → 保育士 保育士試験は通常、年2回実施されます。 なお、筆記試験の合格科目には有効期間が設けられており、一定の条件を満たすことで期間が延長される場合もあります。
保育士になるまで何年かかる?
保育士になるまでの期間は、選ぶ資格取得ルートによって異なります。
2年制短期大学・専門学校ルート
高校卒業 → 指定保育士養成施設(2年間)→ 保育士資格取得 → 保育士登録 高校卒業後、最短で約2年間が一つの目安です。
4年制大学ルート
高校卒業 → 指定保育士養成課程のある大学(4年間)→ 保育士資格取得 → 保育士登録 大学では、保育に加えて教育学や心理学などを幅広く学べる場合があります。
保育士試験ルート
受験資格を満たす → 保育士試験に合格 → 保育士登録 必要な期間は、最終学歴や実務経験、試験の合格状況などによって異なります。 そのため、高校卒業後に指定養成施設へ進学する場合は、約2〜4年間が一般的な目安です。
保育士になるためにかかる費用
保育士になるための費用は、進学する学校や資格取得ルートによって異なります。
2年制専門学校・短期大学
2年間で約180万〜300万円程度が学費の参考目安です。 学校によって授業料や実習費、施設設備費などが異なります。
4年制私立大学
4年間で約400万〜600万円程度が学費の参考目安です。 大学によって授業料や実習費などが異なります。
保育士試験ルート
受験手数料や教材費、必要に応じて通信講座などの受講料がかかります。 独学で学ぶ場合と講座を利用する場合では、費用に大きな違いがあります。
その他の費用
教科書代、実習着、実習先への交通費、保育士登録に関する費用などが必要になる場合があります。 また、自治体などによっては、保育士を目指す学生を対象とした修学資金貸付制度が設けられている場合があります。 一定の条件を満たすことで返還が免除される制度もあるため、進学先や自治体の情報を確認しましょう。 ※上記は進学費用を検討するための概算であり、学校別の最新学費を集計したものではありません。
保育士に向いている人
子どもが好き
子どもと関わることが好きで、その成長を支えたい人に向いています。
相手の気持ちを考えられる
子どもの言葉や表情、行動から気持ちを理解し、寄り添う姿勢が大切です。
小さな変化に気づける
子どもの体調や表情、行動の変化に気づき、必要な対応につなげる観察力が役立ちます。
身体を動かすことが好き
子どもと一緒に遊んだり、生活を支援したりするため、身体を動かすことに抵抗がない人に向いています。
創造力がある
遊びや工作、行事などを工夫し、子どもたちが楽しめる活動を考える力が役立ちます。
チームで協力できる
ほかの保育士や保護者、専門職と連携するため、協調性やコミュニケーション力が求められます。
保育士の働き方
認可保育所
乳児から小学校入学前までの子どもを中心に、日常生活や遊びを通した保育を行います。 早番・遅番などの交代勤務がある場合があります。
認定こども園
幼児教育と保育を一体的に提供する施設で、子どもの成長を支えます。 施設の類型や担当業務によっては、幼稚園教諭免許状も必要になります。
小規模保育事業所
少人数の子どもを対象に、一人ひとりに寄り添った保育を行います。
企業内保育施設
企業などが設置する保育施設で、従業員の子どもなどの保育を行います。
児童福祉施設
乳児院や児童養護施設などで、子どもの生活や成長を支えます。
児童発達支援事業所
発達に支援が必要な子どもに対して、遊びや生活を通した発達支援を行います。
病児保育施設
病気の子どもや回復期にある子どもに対して、体調に配慮した保育を行います。
保育士の収入
保育士の収入は、勤務先や経験年数、地域、雇用形態、役職などによって異なります。 認可保育所や認定こども園などで働く場合、基本給に加えて資格手当や役職手当、処遇改善に関する手当などが支給されることがあります。 年収は300万〜450万円程度が参考目安ですが、これは保育士全体の最新の公的平均年収を示すものではありません。 公立保育所で地方公務員として働く場合は、自治体の給与制度に基づいて給与が決まります。 また、主任保育士や園長などの役職に就くことで、収入が変わる場合もあります。 就職先を考える際には、給与だけでなく、勤務時間や休日、福利厚生、職員配置なども確認することが大切です。
保育士のやりがい
子どもの成長を間近で見守れる
歩けるようになったり、言葉が増えたり、友達と遊べるようになったりする成長の瞬間に関わることができます。
子どもの笑顔に触れられる
日々の遊びや生活の中で、子どもたちの笑顔や楽しそうな姿を見ることができます。
保護者を支えられる
子育てに関する相談に応じたり、子どもの成長を共有したりすることで、保護者の安心につなげることができます。
子どもの可能性を広げられる
遊びやさまざまな経験を通して、子どもの好奇心や想像力、社会性などを育むことができます。
チームで子どもを支えられる
ほかの保育士や専門職と協力しながら、子どもたちの成長を支えることができます。
専門性を高めていける
発達支援や乳児保育、保護者支援などの知識を深め、専門性を高めていくことができます。
保育士に関連する学問
保育学
子どもの発達や生活、遊びを通した保育の方法などについて学ぶ。
幼児教育学
幼児期の教育や発達、遊びを通した学びについて学ぶ。
児童福祉学
子どもの権利や福祉制度、家庭への支援などについて学ぶ。
発達心理学
乳児期から幼児期にかけての心や身体の発達について学ぶ。
教育学
教育の目的や方法、子どもの学習や成長を支えるしくみについて学ぶ。
栄養学
子どもの成長に必要な栄養や食生活、食育などについて学ぶ。
保育士に関連する資格・認定
保育士
子どもの保育や保護者への支援を行う国家資格です。 指定保育士養成施設の卒業、または保育士試験への合格によって資格を取得し、登録を行います。
幼稚園教諭免許状
幼稚園で幼児教育を行うための教員免許状です。 保育士資格とあわせて取得することで、認定こども園などでの活躍の幅が広がります。
子育て支援員
地域の子育て支援事業などに関わるための研修を修了した人です。 保育士とは異なる制度であり、国家資格ではありません。
社会福祉士
生活上の困難を抱える人に対して、相談援助や福祉サービスの利用支援などを行う国家資格です。 子どもや家庭を支援する分野でも活躍しています。
公認心理師
心理的な問題を抱える人に対して、心理状態の分析や相談援助などを行う国家資格です。 子どもの発達や心理に関わる分野でも活躍しています。
保育士に関連する職業
幼稚園教諭
幼稚園で、遊びや生活を通して幼児の成長や学びを支えます。
児童指導員
児童福祉施設などで、子どもの生活や発達、社会性の形成を支援します。
公認心理師
子どもや保護者などの心理的な問題について、相談援助や心理支援を行います。
社会福祉士
生活上の困難を抱える子どもや家庭などに対して、相談援助や福祉サービスの利用支援を行います。
看護師
子どもの健康状態を把握し、病気やけがへの対応、健康管理などを行います。
特別支援学校教諭
障害のある子どもたちに対して、一人ひとりの特性に応じた教育や支援を行います。


