教育学

教育学とは?

教育学は、人がどのように学び、成長していくのか、そしてよりよい教育を実現するにはどうすればよいのかを研究する学問です。
「教育」と聞くと、学校の先生が子どもに勉強を教えることを思い浮かべるかもしれません。しかし、教育学が研究する範囲はそれだけではありません。
学校教育はもちろん、幼児教育、家庭教育、特別支援教育、生涯学習など、人の一生に関わるさまざまな「学び」を研究します。
たとえば、「子どもが理解しやすい授業とはどのようなものか」「学校に行きづらい子どもをどのように支援するか」「ICTを使うと学習はどう変わるのか」といった身近な問題も教育学の研究テーマになります。
さらに、教育制度や学校の歴史、海外の教育、教育格差など、社会全体の視点から教育について考える研究もあります。
教育学は、単に「教え方」を学ぶ学問ではなく、人の学びと成長をさまざまな角度から考え、よりよい教育のあり方を探究する学問です。

教育学では何を研究するの?

教育学では、子どもから大人までの学び・成長・教育のしくみについて、さまざまな視点から研究します。
たとえば、次のような問いが教育学の研究テーマになります。

  • 子どもが「分かった!」と感じる授業には、どんな特徴がある?
  • 子どもの学習意欲を高めるにはどうすればよい?
  • 一人ひとりの違いに合わせた教育を実現するには?
  • 不登校の子どもには、どのような学びの場が必要?
  • タブレットやAIを使うことで授業はどう変わる?
  • 家庭環境や地域によって教育の機会に差が生まれるのはなぜ?
  • 日本と海外では学校教育にどのような違いがある?
  • 障害のある子どもとない子どもが共に学ぶためには何が必要?
  • 大人になってからも学び続けることには、どんな意味がある?

教育学では、学校で起きていることだけを見るのではなく、心理・社会・歴史・文化・制度などの視点も取り入れながら「教育とは何か」を考えていきます。
そして研究を通して、現在の教育が抱える課題を明らかにし、すべての人がよりよく学び、成長できる教育のあり方を探究していきます。

教育学にはどんな分野がある?

教育学には、研究する対象やテーマによって、さまざまな分野があります。

教育哲学

「教育とは何か」「人はなぜ学ぶのか」「学校は何のためにあるのか」など、教育の意味や目的について根本から考える分野です。

教育史

昔の学校や教育制度、教育思想などを研究し、教育が時代とともにどのように変化してきたのかを考えます。

教育心理学

人がどのように学習し、理解し、成長するのかを心理学の視点から研究します。学習意欲や記憶、発達なども研究対象になります。

教育社会学

教育と社会との関係を研究します。家庭環境と学力、教育格差、進学、学校文化など、社会的な視点から教育について考えます。

教育方法学

よりよい授業や指導方法について研究する分野です。授業の組み立て方や教材、学習評価などについて考えます。

教育行政・教育制度

学校や教育を支える制度や政策について研究します。国や地方自治体の教育政策、学校運営、教育制度などを扱います。

幼児教育

乳幼児期の発達や遊び、学び、保育・教育のあり方について研究します。

特別支援教育

障害や発達上の特性などによって特別な教育的支援を必要とする子どもの学びや支援について研究します。

生涯学習・社会教育

学校を卒業した後も続く人々の学びについて研究します。公民館や図書館など地域における学習活動も対象になります。

教育工学

ICT、デジタル教材、オンライン学習、AIなどを活用し、より効果的な学習環境や教育方法について研究します。

大学では教育学をどのように学ぶ?

大学では、教育についての基礎的な知識を学びながら、子どもの発達、授業、学校、教育制度などについて段階的に理解を深めていきます。

1年次|教育の基礎を幅広く学ぶ

教育学の基本的な考え方を学びます。教育の歴史や思想、心理学、社会学などにも触れ、「教育とは何か」をさまざまな視点から考えます。

2年次|興味のある教育分野を深く学ぶ

教育心理学、教育方法学、教育社会学、特別支援教育、幼児教育など、より専門的な科目を学びます。学校や教育現場について具体的に考える機会も増えていきます。

3年次|ゼミや調査を通して研究する

興味のあるテーマを選び、ゼミなどで専門的な研究を進めます。学校を訪問したり、アンケートやインタビューを行ったりして、実際の教育現場を調査することもあります。

4年次|自分のテーマを研究する

これまでの学びをもとに、「ICTを使った授業」「不登校の子どもの学び」「教育格差」など、自分で研究テーマを設定します。大学によっては、その成果を卒業論文としてまとめます。

なお、教員養成を目的とする課程では、教職に必要な科目の履修や教育実習なども行います。
一方、教育学を学ぶことと教員になることは同じではなく、教育政策や社会教育、研究など幅広い方向へ学びを発展させることができます。

教育学ではどんな授業・演習をする?

教育学を学ぶ大学では、講義で知識を身につけるだけでなく、学校や子どもの学びについて調査したり、学生同士で議論したりする実践的な授業も行われます。

教育学の基礎科目

教育の歴史や思想、制度などについて学びます。
「学校はなぜ生まれたのか」「教育にはどのような役割があるのか」など、教育を幅広い視点から考えます。

教育心理学の授業

子どもの発達、記憶、学習意欲、理解の仕組みなどについて学びます。
心理学の知識を教育にどのように生かすかを考えます。

授業づくり・教材研究

「どのように説明すれば理解しやすいか」「どんな教材を使えば興味を持ってもらえるか」など、授業の組み立て方について考えます。

学校・教育現場の観察

学校や教育施設などを訪れ、実際の教育活動を観察することがあります。
現場で得た気づきを大学で分析し、教育について考えます。

調査・データ分析

アンケートやインタビュー、観察などを使って教育に関するデータを集めます。
統計を使って学習成果や教育格差などを分析することもあります。

ゼミ・演習

少人数で一つの教育テーマについて研究します。
文献を読んだり、調査結果を発表したりしながら、教員や学生との議論を通して考えを深めます。

教育実習

教員免許状の取得を目指す場合には、学校で教育実習を行います。
実際の授業や学級活動などを経験し、大学で学んだ知識と学校現場を結びつけます。

教育学ではどんな研究が行われている?

教育学では、学校での授業だけでなく、子どもの発達、教育制度、家庭や社会との関係、新しい学習技術など、教育に関わる幅広いテーマが研究されています。

子どもの学びと発達

子どもがどのように知識を身につけ、考える力を伸ばしていくのかを研究します。学習意欲や自己肯定感なども研究対象になります。

授業・学習方法

「どのような授業が理解につながりやすいのか」「協働学習にはどのような効果があるのか」など、よりよい授業や学習方法について研究します。

不登校・教育支援

学校に通うことが難しい子どもの学びや居場所について研究します。学校以外の学習環境や支援方法なども重要なテーマです。

教育格差

家庭の経済状況や地域などによって、学習環境や進学機会にどのような違いが生じるのかを調べ、その背景や改善策を研究します。

特別支援教育・インクルーシブ教育

障害やさまざまな教育的ニーズのある子どもをどのように支えるか、また、多様な子どもたちが共に学べる教育環境について研究します。

ICT・AIと教育

タブレット、オンライン授業、デジタル教材、生成AIなど、新しい技術を教育にどのように活用できるのかを研究します。

教育制度・教育政策

学校制度や入試、教員制度、教育予算などを研究し、社会全体としてどのような教育制度をつくるべきかを考えます。

海外の教育

日本と海外の学校制度や授業方法などを比較し、それぞれの教育の特徴や課題について研究します。

教育学とつながる学問

教育学は、「人がどのように学び、成長するのか」を考えるために、さまざまな学問と深く関わっています。

心理学

記憶、思考、感情、発達、学習意欲など、人の心の働きを研究します。教育心理学は、心理学と教育学が特に深く結びついた分野です。

社会学

家庭環境、地域、社会階層などと教育との関係を考えます。教育格差や進学、学校文化などを研究するときにも重要です。

哲学

「教育とは何のためにあるのか」「人を育てるとはどういうことか」といった教育の根本的な問題を考えるためにつながります。

歴史学

学校制度や教育方法がどのように生まれ、変化してきたのかを研究するときに、歴史学の視点が使われます。

情報科学

デジタル教材、オンライン学習、生成AIなど、テクノロジーを活用した新しい教育方法を考えるうえで関係が深まっています。

社会福祉学

子どもの貧困や家庭の問題、障害のある子どもの支援など、教育だけでは解決できない課題を考える際に深く関係します。

スポーツ科学

体育や運動を通した成長、健康づくり、スポーツ指導など、「身体を通した教育」を考えるうえでつながっています。

教育学からつながる職業

教育学で身につける「人の学びや成長を考える力」は、学校だけでなく、行政、福祉、企業などさまざまな分野で生かすことができます。

学校の教員

小学校・中学校・高等学校・特別支援学校などで、子どもたちの学習や成長を支えます。教員になるには、原則として必要な教職課程を修了し、教員免許状を取得する必要があります。

幼稚園教諭

幼児期の子どもの遊びや生活を通して、心身の発達や学びを支えます。

教育行政に関わる公務員

国や地方自治体などで、学校教育や生涯学習、教育政策などに関わる仕事があります。

社会教育に関わる仕事

公民館や青少年教育施設などで、子どもから大人まで幅広い世代の学習活動を支援します。

教材・教育サービスに関わる仕事

教科書、参考書、学習教材、オンライン教育サービスなどの企画・制作に携わります。

EdTechに関わる仕事

ICTやAIなどを活用し、新しい学習サービスやデジタル教材、教育システムなどを開発します。

企業の人材育成・研修

企業で社員教育や研修の企画・運営などに携わり、大人の学びや能力開発を支援します。

研究者・大学教員

大学や研究機関で、教育方法、教育制度、教育心理、教育政策などについて専門的な研究を行います。