国際関係学

国際関係学とは?

国際関係学は、国と国との関係や、世界で起こっているさまざまな問題について研究する学問です。
世界では、戦争や紛争、貿易、貧困、難民、環境問題、感染症など、一つの国だけでは解決できない問題が数多く起こっています。

たとえば、

「なぜ国と国の間で戦争や対立が起こるの?」
「世界の平和を守るためには何が必要?」
「国連はどのような役割を果たしている?」
「国同士はなぜ貿易をするの?」
「難民や貧困の問題を解決するには?」
「地球温暖化について各国はどのように協力できる?」
「文化や宗教の違いは国際関係にどのような影響を与える?」

といった問いを考えていきます。
研究対象は国家だけではありません。国際連合(国連)などの国際機関、企業、NGO、地域社会、そして一人ひとりの人間も国際関係をつくる重要な存在です。
そのため国際関係学では、政治学、経済学、法学、歴史学、社会学、文化人類学など、さまざまな学問の知識を組み合わせて世界を分析します。
ニュースで目にする戦争や国際会議、貿易摩擦、気候変動などを単なる出来事として見るのではなく、「なぜ起きたのか」「世界はどのようにつながっているのか」「どうすれば解決できるのか」を考えるのが国際関係学です。
つまり国際関係学は、複雑につながり合う世界の仕組みを理解し、国や文化の違いを越えて人々が共に生きる方法を探究する学問です。

国際関係学では何を研究する?

国際関係学では、世界の国々や人々がどのように関わり合い、なぜ協力や対立が生まれるのかを研究します。
たとえば、次のような問いが研究テーマになります。

  • なぜ戦争や国際紛争は起こる?
  • 戦争を防ぎ、平和を維持するにはどうすればよい?
  • 国連などの国際機関にはどのような役割がある?
  • アメリカや中国など大国の関係は世界にどう影響する?
  • 国際貿易によって得をする国と不利益を受ける国が生まれるのはなぜ?
  • 貧困や経済格差を減らすにはどうすればよい?
  • 難民や移民をめぐる問題に各国はどう対応すべき?
  • 気候変動など地球規模の問題に国々はどう協力できる?
  • 宗教や文化の違いは国際関係にどう影響する?
  • SNSやインターネットは国際社会をどう変えている?

こうした問題を研究するために、過去の出来事や各国の政策、国際条約、統計データ、外交文書などを分析します。また、特定の国や地域を詳しく調べたり、複数の国を比較したりする研究も行われます。
国際関係学の特徴は、政治だけを研究するわけではないことです。
たとえば「気候変動」を研究する場合でも、各国政府の政策だけでなく、経済、エネルギー、国際法、企業、市民活動など、さまざまな視点から問題を考えます。
そのため、政治・経済・法律・歴史・文化などを組み合わせながら、世界で起きている出来事を多角的に分析することが国際関係学の大きな特徴です。

国際関係学にはどんな分野がある?

国際関係学は、世界で起こるさまざまな問題を研究するため、政治・経済・法律・平和・開発・地域など幅広い分野に分かれています。

国際政治学

国家同士の関係や外交、安全保障などを研究します。各国がなぜ協力したり対立したりするのか、国際社会の力関係がどのように変化するのかを考えます。

外交・安全保障論

外交政策、軍事、安全保障、同盟などについて研究します。戦争を防ぎ、国家や人々の安全を守るための仕組みについて考える分野です。

平和・紛争研究

戦争や内戦、民族対立などが起こる原因を研究し、紛争の予防や和平、紛争後の復興について考えます。

国際経済学

貿易、為替、国際金融、多国籍企業など、国境を越えた経済活動について研究します。グローバル化によって各国の経済がどのようにつながっているのかも重要なテーマです。

国際法

国家間のルールや国際条約、人権、海洋、紛争などについて研究します。国際社会で国々が守るべきルールについて考えます。

国際機構論

国際連合をはじめとする国際機関について研究します。国際機関が平和、人権、保健、環境などの問題にどのように取り組んでいるのかを分析します。

国際開発・国際協力

貧困、教育、医療、食料、インフラなど、世界各地が抱える課題とその解決方法について研究します。政府だけでなく、NGOなどによる国際協力も対象になります。

地域研究

アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカ、北米、中南米など、特定の地域について政治・経済・歴史・文化などを総合的に研究します。

グローバル・イシュー研究

気候変動、難民・移民、感染症、エネルギー、食料、人権など、一つの国だけでは解決できない地球規模の問題を研究します。

これらは独立しているわけではありません。
たとえば難民問題を考える場合でも、国際政治 × 国際法 × 平和・紛争研究 × 地域研究 × 国際協力といった複数の視点が必要になります。
国際関係学は、こうした分野を組み合わせながら、複雑な世界をさまざまな角度から理解していく学問です。

大学では生活科学をどのように学ぶ?

大学の国際関係学では、世界で起こっている出来事を理解するために、政治・経済・法律・歴史・文化などを幅広く学びながら、自分の関心のある国や国際問題を専門的に研究していきます。

1年次|国際社会を理解する基礎を学ぶ

国際関係論、政治学、経済学、法学、世界史などの基礎を学びます。英語をはじめとする外国語の学習を重視する大学も多くあります。

2年次|国際問題をさまざまな視点から学ぶ

国際政治、国際経済、国際法、安全保障、国際協力、地域研究などを学びます。一つの出来事を複数の視点から分析する力を身につけていきます。

3年次|興味のある地域やテーマを専門的に研究する

ゼミなどに所属し、より専門的な研究に取り組みます。
たとえば、「戦争や紛争を防ぐ方法」「難民・移民問題」「国際協力と途上国の発展」「気候変動をめぐる国際交渉」「東アジアの国際関係」など、自分の関心に合わせてテーマを深めていきます。

4年次|卒業研究に取り組む

自分で研究テーマを設定し、文献や統計データ、各国の政策、国際機関の資料などを調査・分析します。その成果を卒業論文などとしてまとめます。


大学によっては、海外留学、外国語研修、国際機関やNGOなどでのインターンシップといった学びの機会が用意されていることもあります。

国際関係学ではどんな授業・実習をする?

大学の国際関係学では、講義で知識を学ぶだけでなく、世界のニュースや国際問題を題材にした討論、文献調査、プレゼンテーションなどの演習も行います。

国際政治・国際関係論

国家同士の協力や対立、外交、安全保障などについて学びます。
過去の戦争や国際問題を分析しながら、国際社会の仕組みを考えます。

国際経済の授業

貿易、為替、国際金融、グローバル企業などについて学びます。
世界の経済がどのようにつながっているのかをデータなどから分析します。

国際法の授業

国際条約、人権、領土、海洋、難民などに関する国際的なルールについて学びます。
実際の国際問題を題材に考えることもあります。

住環境実習

室内の温度、湿度、光、音などを測定し、人が快適に暮らせる住環境について考えます。
住宅の間取りやバリアフリーについて学ぶこともあります。

地域研究

アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカなど特定の地域について、政治だけでなく歴史、経済、宗教、文化などを総合的に学びます。

ディベート・ディスカッション

「難民をどのように受け入れるべきか」「気候変動に各国はどう対応するべきか」などのテーマについて、異なる立場から議論します。
自分とは異なる意見を理解することも重要な学びです。

模擬国連

学生が各国の代表となり、実際の国際会議のように外交交渉を行います。
自分が担当する国の立場を調査し、他国と交渉しながら決議案などをまとめます。

外国語・プレゼンテーション

英語などの外国語を学び、海外の文献を読んだり、国際問題について発表したりします。
大学によっては第二外国語も学びます。

フィールドワーク・海外研修

海外や地域社会を訪れ、現地の文化や社会問題について調査することもあります。
留学や国際協力活動などと組み合わせる大学もあります。

国際関係学ではどんな研究が行われている?

国際関係学では、戦争と平和、外交、国際経済、人権、環境、国際協力など、国境を越えて起こるさまざまな問題について研究が行われています。

戦争・紛争と平和の研究

なぜ戦争や内戦が起こるのかを、歴史、政治、経済、民族・宗教などさまざまな視点から分析します。紛争を予防する方法や、停戦・和平、紛争後の復興についても研究します。

外交・安全保障の研究

各国がどのような外交政策をとり、他国との関係を築いているのかを研究します。同盟、安全保障政策、核兵器や軍縮なども研究対象になります。

国際機関の研究

国連をはじめとする国際機関が、平和、人権、保健、貧困、環境などの問題にどのような役割を果たしているのかを研究します。

国際経済・貿易の研究

国境を越えた貿易や投資、国際金融、多国籍企業などについて研究します。グローバル化が各国の産業や人々の生活に与える影響も分析します。

貧困・国際開発の研究

世界の貧困や経済格差がなぜ生まれるのかを研究し、教育、医療、農業、インフラ整備などを通じて生活を改善する方法を考えます。

難民・移民の研究

戦争や迫害、経済的な理由などによって国境を越えて移動する人々について研究します。受け入れ国の政策、人権、社会への統合なども重要なテーマです。

地球環境問題の研究

気候変動やエネルギー問題など、一つの国だけでは解決できない課題について研究します。各国がどのようにルールをつくり、協力できるのかを考えます。

新しい国際問題の研究

国際関係学の研究対象は、社会や技術の変化とともに広がっています。サイバー攻撃、AI、SNS上の情報、宇宙利用、感染症などが国際社会に与える影響も研究されています。

国際関係学では、単に「どの国が正しいのか」を考えるのではなく、それぞれの国や人々が置かれた状況、歴史的背景、利害関係などを調べ、国際問題が生まれる仕組みを分析することが重要です。

国際関係学とつながる学問

国際関係学は、世界で起こる複雑な問題を研究するため、政治・経済・法律・歴史・文化など、さまざまな学問と深くつながっています。

政治学

国家の政治制度や政策、権力などを研究します。外交や安全保障、国家同士の関係を理解するうえで、国際関係学と特に関係の深い学問です。

経済学

貿易、為替、金融、経済成長などを研究します。国際貿易や経済格差、経済制裁などの国際問題を考える際に重要です。

法学

国家や社会のルールについて研究します。国際関係学では、国際法や条約、人権、難民などの問題を考える際に法学の知識が使われます。

歴史学

現在の国際関係を理解するためには、過去の出来事を知ることが欠かせません。戦争、植民地支配、国家の成立などの歴史が、現在の国際問題にどのようにつながっているのかを考えます。

社会学

社会の構造や人々の集団、格差、移民などについて研究します。グローバル化によって社会がどのように変化しているのかを分析する際にも関係します。

文化人類学

世界各地の文化や宗教、生活、価値観などを研究します。異なる文化を持つ人々や社会を理解するうえで重要な学問です。

地域研究

特定の国や地域について、政治、経済、歴史、宗教、文化などを総合的に研究します。国際問題の背景をより深く理解することにつながります。

環境学

気候変動、資源、エネルギーなどの地球規模の問題を研究します。国際的な環境政策や各国の協力について考える際に国際関係学とつながります。

国際関係学の特徴は、一つの学問だけでは説明できない世界の問題を、複数の学問を組み合わせて考えることです。
たとえば「難民問題」であれば、政治学 × 法学 × 歴史学 × 経済学 × 社会学 × 地域研究といったさまざまな視点から分析できます。

国際関係学からつながる職業

国際関係学で身につける、世界情勢を分析する力、外国語力、異なる文化や価値観を理解する力は、国境を越えて活躍するさまざまな仕事につながります。

外交官

日本政府を代表して外国政府との交渉や情報収集などを行います。海外の大使館や総領事館などで働くこともあります。

国家公務員

外務省をはじめとする国の機関で、外交、国際協力、経済、安全保障などに関する政策づくりに携わります。

国際機関職員

国連などの国際機関で、平和、人権、開発、保健、環境など世界規模の課題に取り組みます。

NGO・NPO職員

国際協力や人道支援、難民支援、教育、環境保護などの活動に携わります。海外の現場で活動する仕事もあります。

国際協力に関わる仕事

開発途上地域などで、教育、医療、農業、インフラ整備などの支援に携わります。国際協力機関や民間企業など、活躍する場所はさまざまです。

商社・グローバル企業

海外企業との取引や海外事業、マーケティングなどに携わります。国際情勢や各国の文化・経済を理解する力を生かせます。

報道・メディア関係

記者やジャーナリストなどとして、外交、戦争、国際経済、社会問題などを取材し、世界で起きている出来事を伝えます。

研究者・大学教員

国際政治、安全保障、国際協力、地域研究などを専門として、大学や研究機関で研究・教育を行います。

国際関係学を学んだからといって、進路が「国際的な仕事」だけに限定されるわけではありません。
複雑な問題を複数の視点から分析する力や、異なる立場を理解してコミュニケーションを取る力は、一般企業や行政など幅広い分野で生かすことができます。