政治学

政治学とは?

政治学は、社会のルールや政策がどのように決まり、国や自治体などがどのように運営されているのかを研究する学問です。
私たちの暮らしには、教育、医療、税金、年金、道路、防災、環境など、政治によって決められるさまざまな制度や政策が関係しています。

たとえば、

「国のルールや政策はどのように決まる?」
「国会や政府にはどのような役割がある?」
「なぜ選挙を行うの?」
「人々の意見は政治にどのように反映される?」
「国と地方自治体では役割がどう違う?」
「国によって政治の仕組みが違うのはなぜ?」
「より多くの人が納得できる政策をつくるには?」
「政治は社会や私たちの暮らしをどのように変える?」

といった問いが、政治学の研究テーマになります。
政治学では、日本の政治だけを研究するわけではありません。
世界各国の政治制度を比較したり、過去の政治思想を研究したり、選挙結果や世論調査などのデータを分析したりします。
また、国家だけでなく、地方自治体、政党、議会、行政機関、市民団体、企業、メディア、国際機関など、政治に関わるさまざまな主体も研究対象です。
政治学は、特定の政党や政治家を支持するための学問ではありません。さまざまな立場や制度、データ、歴史的背景を調べながら、政治がどのような仕組みで動いているのかを客観的に分析することを目指します。
つまり政治学は、「社会のことを誰が、どのような仕組みで決めるのか」を研究し、政治と社会の仕組みを理解する学問です。

政治学では何を研究する?

政治学では、社会の中で物事がどのように決められ、政治の仕組みが人々の生活にどのような影響を与えているのかを研究します。
たとえば、次のような問いが研究テーマになります。

  • 選挙制度の違いによって政治はどう変わる?
  • 有権者はどのような理由で投票先を決める?
  • 国会ではどのように法律や政策が決められる?
  • 政党にはどのような役割がある?
  • 内閣や行政機関はどのように政策を実行している?
  • 国と地方自治体はどのように役割を分担している?
  • 世論やメディアは政治にどのような影響を与える?
  • 民主主義にはどのような仕組みや課題がある?
  • 国によって政治制度が異なるのはなぜ?
  • 社会のさまざまな意見や利害を、政策にどう反映する?

こうした問題を研究するために、法律や議会の記録、政府の資料、選挙結果、世論調査、統計データ、新聞・メディアなど、さまざまな資料を分析します。
また、日本と外国の政治制度を比較したり、過去と現在の政治を比較したりすることで、政治の仕組みにどのような共通点や違いがあるのかを研究することもあります。
政治学では、政治家や政党だけを見るのではなく、制度・政策・市民・行政・メディア・社会運動などを幅広く研究対象とすることが特徴です。
「どの意見が正しいか」を決めるのではなく、なぜその政策が生まれたのか、誰が意思決定に関わっているのか、その制度が社会にどのような影響を与えているのかを、資料やデータをもとに分析していく学問です。

政治学にはどんな分野がある?

政治学では、政治の仕組みをさまざまな角度から研究するため、政治制度・行政・思想・国際関係・選挙など、多くの専門分野があります。

政治理論・政治思想

「国家とは何か」「自由や平等とは何か」「民主主義とはどのような仕組みか」など、政治の基本となる考え方を研究します。過去の思想家の議論から現代社会の課題まで幅広く扱います。

日本政治

日本の国会、内閣、政党、選挙、官僚制度、地方自治などについて研究します。日本の政治制度がどのように形成され、現在どのように機能しているのかを分析します。

比較政治学

複数の国や地域の政治を比較する分野です。選挙制度、政党、議会、政治体制などを比較し、なぜ国によって政治の仕組みや政策に違いが生まれるのかを研究します。

行政学

国や地方自治体の行政について研究します。政府が決めた政策がどのように実行され、行政組織や公務員がどのような役割を果たしているのかを分析します。

公共政策学

教育、医療、福祉、少子高齢化、防災、環境など、社会が抱える問題に対してどのような政策をつくるのかを研究します。政策の効果をデータから検証することもあります。

選挙・政治行動研究

人々がなぜ選挙に参加するのか、どのように政治的な意見を形成するのかなどを研究します。選挙結果や世論調査などのデータを統計的に分析する研究も行われます。

政党・議会研究

政党がどのように政策をつくるのか、議会ではどのように意思決定が行われるのかなどを研究します。政党制度や議会制度を国際比較することもあります。

国際政治学

国家同士の外交、安全保障、国際機関などについて研究します。国際関係学と特に深くつながる分野です。

政治史

過去の政治制度や政治的な出来事を研究し、現在の政治がどのように形成されてきたのかを考えます。

このように政治学では、「政治の考え方」から「制度」「政策」「行政」「選挙」「国際社会」まで幅広く研究します。
同じ社会問題でも、制度を調べるのか、人々の行動を分析するのか、政策の効果を検証するのかによって研究方法が変わることが、政治学のおもしろさの一つです。

大学では政治学をどのように学ぶ?

大学の政治学では、まず政治の基本的な仕組みや考え方を学び、その後、選挙、行政、公共政策、国際政治など、自分が興味を持った分野を専門的に研究していきます。

1年次|政治学の基礎を学ぶ

政治学概論、政治思想、法学、経済学、社会学などを学びます。国会・内閣・選挙・地方自治など、政治を理解するための基本的な仕組みについても学習します。

2年次|政治をさまざまな角度から学ぶ

日本政治、比較政治、行政学、公共政策、国際政治など、より専門的な科目を学びます。統計学や社会調査など、政治をデータから分析する方法を学ぶこともあります。

3年次|興味のあるテーマを専門的に研究する

ゼミなどに所属し、自分の関心に合わせて研究テーマを深めていきます。たとえば、「若者の投票行動にはどのような特徴がある?」「国によって選挙制度が違うのはなぜ?」「地方自治体は人口減少にどう対応している?」「SNSは政治参加にどのような影響を与える?」「ある政策は社会にどのような変化をもたらした?」といったテーマを研究できます。

4年次|卒業研究に取り組む

自分で研究テーマを設定し、議会資料、政府統計、選挙結果、世論調査、新聞記事、過去の研究などを集めて分析します。その成果を卒業論文などとしてまとめます。


政治学では、文章や資料を読むだけでなく、統計データの分析、アンケート調査、インタビュー、国や地域の比較など、テーマに応じてさまざまな研究方法を使います。
大学によっては、国会や地方議会、自治体などを訪問したり、行政機関や議員事務所、NPOなどでインターンシップを経験したりする機会もあります。

政治学ではどんな授業・演習をする?

大学の政治学では、講義で政治制度や理論を学ぶだけでなく、実際の政策や選挙、社会問題を題材にした分析・討論・調査にも取り組みます。

政治学・政治思想の講義

民主主義、自由、平等、権力、国家など、政治を考えるうえで重要な概念を学びます。過去の政治思想と現代社会の問題を結びつけて考えることもあります。

食品・栄養実験

食品に含まれるタンパク質、脂質、糖質などの成分を分析したり、栄養と身体との関係について実験したりします。

日本政治・比較政治の授業

日本の国会、内閣、政党、選挙などについて学ぶとともに、海外の政治制度と比較します。
国によって政治の仕組みがなぜ異なるのかを分析します。

公共政策の演習

少子高齢化、教育、医療、福祉、防災、環境などの社会課題を取り上げ、「どのような政策が考えられるか」「政策によってどのような影響が生じるか」を検討します。

選挙・世論データの分析

選挙結果や世論調査などのデータを使って、人々の政治参加や意識を分析します。
統計ソフトなどを利用することもあります。

ディベート・ディスカッション

社会的な課題について、異なる立場から意見を出し合います。
自分の意見を主張するだけでなく、根拠を示しながら議論し、異なる立場を理解する力も身につけます。

模擬議会

学生が議員などの役割を担当し、実際の議会のように政策について議論する演習です。
法案や政策案について意見を交わし、合意形成の難しさや意思決定の仕組みを体験します。

社会調査・インタビュー

政治意識や地域の課題などについて、アンケートやインタビューを行います。
集めた情報を整理・分析し、社会の実態を調べます。

フィールドワーク

地方自治体や議会などを訪れ、地域の政策や行政について調査することもあります。
地域によって異なる課題を現場から考える学習です。

政治を単なるニュースやイメージで捉えるのではなく、資料やデータなどの根拠をもとに分析し、異なる立場を比較しながら考える力を身につけることが、政治学の授業・演習の大きな特徴です。

政治学ではどんな研究が行われている?

政治学では、政治制度、選挙、政策、行政、世論、国際政治など、社会の意思決定に関わるさまざまな研究が行われています。

選挙・投票行動の研究

人々がどのような理由で投票に参加するのか、政治に対する意識がどのように形成されるのかなどを研究します。選挙結果や世論調査などのデータを分析することもあります。

政党・議会の研究

政党がどのように政策をつくり、議会でどのように意思決定が行われるのかを研究します。国による政党制度や議会制度の違いを比較する研究もあります。

行政・地方自治の研究

国や地方自治体がどのように政策を実施しているのかを研究します。人口減少、地域活性化、防災、子育て支援など、地域が抱える課題も研究対象です。

公共政策の研究

教育、医療、福祉、環境、雇用などの政策について、その仕組みや社会への影響を研究します。政策を実施した前後のデータなどから効果を検証する研究も行われます。

民主主義・政治制度の研究

議会制、選挙制度、権力分立など、民主主義を支える制度について研究します。複数の国を比較し、制度の違いが政治に与える影響を分析することもあります。

世論・メディアの研究

新聞、テレビ、インターネット、SNSなどが、人々の政治に対する認識や政治参加とどのように関係しているのかを研究します。

政治思想の研究

自由、平等、民主主義、正義、国家などについて、過去から現代までの政治思想を研究します。「社会はどのようなルールで成り立つべきか」といった問いについても考えます。

国際政治の研究

国家間の外交、安全保障、国際機関などを研究します。戦争や平和、国際協力などを政治学の視点から分析します。

政治学では、社会の変化に合わせて新しい研究テーマも生まれています。
たとえば、SNSと政治参加、AIと政策決定、インターネット上の情報環境、人口減少社会の行政なども研究対象になり得ます。
政治学の研究では、「どの立場が正しいか」を最初から決めるのではなく、制度や歴史を調べ、資料やデータを分析し、政治や政策がどのように機能しているのかを明らかにすることが重要です。

政治学とつながる学問

政治学は、社会の意思決定や制度を研究するため、法律・経済・歴史・社会・国際関係など、さまざまな学問と深くつながっています。

法学

政治によって決められた政策の多くは、法律や制度として社会に反映されます。憲法、国会、行政、地方自治などを理解するうえで、法学は政治学と特に関係の深い学問です。

経済学

税金、社会保障、雇用、物価、産業政策など、政治と経済は密接に関係しています。政策が経済や人々の生活にどのような影響を与えるのかを考える際にも経済学の知識が使われます。

社会学

社会の構造や集団、人々の価値観などを研究します。世論、社会運動、政治参加などを考える場合には、社会学の視点も重要になります。

歴史学

現在の政治制度がどのように成立したのかを理解するためには、歴史を知ることが欠かせません。過去の政治や社会の変化と現在とのつながりを研究します。

哲学

建物の設計や構「自由とは何か」「平等とは何か」「正義とは何か」といった政治の根本的な問題を考えるうえで深く関係します。政治思想や政治哲学につながる分野です。

国際関係学

国家同士の外交、安全保障、国際協力などを研究します。国内の政治だけでなく、世界の中で国家がどのように行動するのかを考える際につながります。

統計学・データサイエンス

選挙結果や世論調査、人口、経済などのデータを分析する際に活用されます。現代の政治学では、データを使って仮説を検証する研究も重要です。

心理学

人がどのように意見を形成し、情報を判断し、政治に参加するのかを考える際につながります。投票行動や政治意識などの研究にも心理学の知見が活用されます。

政治学の特徴は、社会で起きている問題を一つの視点だけでなく、複数の学問を組み合わせて考えられることです。
たとえば「少子化対策」というテーマでも、政治学 × 経済学 × 法学 × 社会学 × 統計学といったさまざまな視点から研究できます。
政治学は、こうした学問を「社会のルールや政策は、どのように決められ、どのような影響をもたらすのか」という視点から結びつける学問でもあります。

政治学からつながる職業

政治学で身につける、社会の仕組みを理解する力、資料やデータを分析する力、異なる立場から問題を考える力は、行政、法律、報道、企業など幅広い仕事につながります。

国家公務員

国の省庁などで、法律や政策の企画・立案、行政サービスなどに携わります。教育、福祉、経済、環境、外交など、担当する分野はさまざまです。

地方公務員

都道府県や市区町村などで、地域住民の生活に関わる仕事をします。子育て、防災、福祉、観光、まちづくりなど、地域の課題に対応します。

国会・地方議会に関わる仕事

国会や地方議会の運営を支える職員や、議員の政策立案・調査などを支える仕事があります。政治制度や政策についての知識を生かせる分野です。

外交官

外国政府との外交交渉や情報収集などに携わります。政治学の中でも、国際政治や外交、安全保障などの学びと深く関係します。

新聞記者・ジャーナリスト

政治、行政、選挙、社会問題などを取材し、その内容を社会に伝えます。複数の資料や関係者から情報を集め、背景を分析する力が求められます。

シンクタンク・調査研究機関

社会や経済、行政などについて調査・分析し、政策に関する研究や提言などに携わります。統計やデータ分析の知識も役立ちます。

NPO・NGO職員

地域社会、人権、環境、国際協力など、さまざまな社会課題の解決に取り組みます。行政や企業などと協力して活動することもあります。

民間企業

政治学で培った調査・分析力は、企画、広報、マーケティング、調査部門など幅広い仕事で活用できます。行政との関係が深い業界では、政策や制度についての知識が役立つ場合もあります。

研究者・大学教員

大学や研究機関で、政治制度、選挙、行政、公共政策、政治思想、国際政治などについて専門的な研究・教育を行います。

政治学を学んだからといって、進路が政治家や公務員だけに限定されるわけではありません。
社会で起きている問題を整理し、さまざまな立場や資料・データから分析する力を生かして、行政、報道、国際関係、企業、研究など幅広い分野へ進むことができます。